Blenderでモデルを作っていると、次のような操作をしたい場面がよく出てきます。
- 「ここに線を1本だけ追加したい」
- 「好きな形にメッシュを切りたい」
- 「文字の形に沿ってモデルに切り込みを入れたい」
そんなときに便利なのが「ナイフ」ツールです。
ナイフツールを使うと、メッシュの上に自分で線を描くようにして自由に切り込みを入れられます。さらに「ナイフ投影」を使えば、文字や別のオブジェクトの形を利用してメッシュを切ることも可能です。
この記事では、Blender初心者の方でも迷わないように、Blender 5.2の最新UIを基準として以下の内容を順番に解説します。
- ナイフツールの基本操作
- カットを確定・キャンセルする方法
- 頂点や辺にスナップする方法
- 角度や軸を固定する方法
- 二等分(Bisect)の使い方
- ナイフ投影の使い方
- ナイフツールがうまく使えないときの注意点
1. Blenderのナイフツールとは?
ナイフツールとは、メッシュに自由な切り込みを入れるためのツールです。
例えば立方体を編集しているとき、「この位置に新しい辺を追加したい」という場合があります。ループカット(Ctrl + R)のように構造に沿って均等に辺を追加するのではなく、自分でカットする場所や方向を自由に決めたいときにナイフツールを使います。
ナイフで実際の物体を切るような感覚で操作できるため、初心者の方にもイメージしやすい機能です。
ただし、ナイフツールは自由度が高いため、思い通りに切るためには少しコツが必要です。まずは基本操作から覚えていきましょう。
2. ナイフツールの基本的な使い方
まずは基本となる立方体を使って、ナイフツールでカットする一連の流れを確認します。
① まず編集モードに切り替える
ナイフツールは、基本的に編集モードで使用します。
- 3Dビューポート上で切り込みを入れたいメッシュを選択します。
- その状態で
Tabキー を押すと、オブジェクトモードから編集モードに切り替わります。 - 画面左上のモード表示が「編集モード」になっていれば準備完了です。
② ナイフツールを起動する
ナイフツールは、3Dビューポート左側にあるツールバーから選択できます。しかし、基本的にはショートカットキーを使うのが一番簡単です。
キーボードの K を押してください。マウスカーソルがナイフのような表示に変われば、ナイフツールが有効になっています。
| 操作 | ショートカットキー |
| ナイフツール起動 | K |
③ 左クリックで切り込みを入れる
ナイフツールを起動したら、メッシュ上で左クリックしてみましょう。
- クリックした場所にカットのポイントが追加されます。
- 続けて別の場所をクリックすると、最初のポイントと次のポイントが線でつながります。
- さらにクリックすれば、複数のポイントをつないで自由な形の切り込みを作ることができます。
つまり、「左クリック ➔ 左クリック ➔ 左クリック」 と順番にクリックしていくことで、自分で切り込みの形を描いていきます。
例えば立方体に斜めの線を入れたい場合は、切りたい位置を順番にクリックしていきます。ループカットでは難しい自由な方向のカットができるのが、ナイフツールの大きな特徴です。
④ カットを確定する
切り込みを描き終わったら、カットを確定します。
Enter キー(または Space キー)を押してください。これでナイフによるカットが確定し、新しい頂点と辺が作られます。
⑤ カットをキャンセルする
「やっぱりこのカットはやめたい」という場合は、Esc キー を押します。現在作成している途中のカットをキャンセルできます。
初心者のうちは、「間違えたら Esc」 と覚えておけば大丈夫です。なお、すでに確定してしまった操作そのものを元に戻したい場合は、Ctrl + Z で取り消せます。
⑥ 新しいカットを作る
ナイフツールでは、1本の切り込みだけでなく、別の場所に新しい切り込みを作ることもできます。
カットを描いている途中で右クリックすると、それまでのカットを区切って、別の場所から新しいカットを開始できます。複数の場所に独立した切り込みを入れたい場合に便利です。
⑦ カットを閉じる
切り込みを線ではなく、閉じた形(ループ)にしたい場合があります。
その場合は、最後のポイントを最初のポイントにつなげるように操作します。ナイフツールでは、カットの終点を始点に合わせて左ダブルクリックすることで、ループを閉じる操作ができます。閉じた形を作ることで、メッシュの中に新しい面(領域)を作ることができます。
3. ナイフツールを使いやすくする便利な機能
ナイフツールには、単純にクリックして切るだけではなく、正確にカットするための支援機能が用意されています。
頂点や辺にスナップする
ナイフツールを使っていると、頂点や辺の近くにマウスを移動したとき、位置が自動的に吸着(スナップ)します。例えば、「頂点と頂点を正確につなぎたい」という場合には非常に便利です。
逆に、「少しだけ位置をずらしてカットしたい」という場合には吸着が邪魔になることがあります。その場合は、ナイフツールの操作中に Shift キー を押すことでスナップを無効化できます。
辺の中点にスナップする
反対に、「辺のちょうど真ん中にカットを入れたい」という場合もあります。
このような場合は、ナイフツールの操作中に Ctrl キー を使うことで、辺の中点へ正確にスナップさせることができます。左右対称の形状を作るときや、辺の中央を正確に狙いたいときに活用しましょう。
⚠️ バージョンに関する注意
ナイフツールのスナップ関連ショートカットは、Blenderのバージョンによって仕様変更が行われてきた部分です。古い解説動画や記事を見る場合はキー操作を鵜呑みにせず、画面下に表示されるガイドや本記事(Blender 5.2基準)の操作を参考にしてください。
カットの角度を制限する
ナイフで斜めの線を引くとき、「なるべく水平にしたい」「一定の角度で切りたい」ということがあります。
このような場合は、ナイフツールの角度制限を利用します。ナイフツールの操作中に A キー を押すと、角度を制限するためのガイドが表示されます。これを利用すると、感覚で線を引くのではなく、一定の角度を基準にして正確にカットできます。
X・Y・Z軸に沿ってカットする
ナイフツールでは、軸方向を指定して一直線にカットすることもできます。
カット中に以下のキーを押すことで、それぞれの軸に沿ったカットが可能です。
Xキー:X軸方向(左右)に固定Yキー:Y軸方向(前後)に固定Zキー:Z軸方向(上下)に固定
「なんとなく水平に切る」のではなく、軸に沿って完全な直線で切りたい場合に使ってみましょう。
4. 二等分(Bisect)とは?
ナイフツールグループには、自由に線を描く方法とは別に、メッシュを一気に切断する「二等分(Bisect)」というツールがあります。
二等分は、その名前の通り、メッシュを指定した平面でスライスして切断するための機能です。例えば立方体を真ん中から切って、「右半分だけ削除したい」という場合などに威力を発揮します。
ナイフツールでモデルを一周するように線を描くよりも、一直線にモデルを切りたい場合に向いています。
二等分の使い方
Tabキー で編集モードに入ります。- 画面左側のツールバーから 「二等分」 を選択します(ナイフツールのアイコンを長押しすると表示されます。メニューからは
メッシュ➔二等分)。 - ビューポート上で、メッシュを切りたい場所に向かってマウスをドラッグ&ドロップします。
- マウスボタンを離すと、その位置を基準にメッシュが一瞬で二等分されます。
二等分で片側を削除する
二等分の便利なところは、単純に切るだけではありません。二等分を実行した直後、画面左下に表示される設定パネルから、切断した片側を削除できます。
- 内側をクリア:有効にすると、指定した切断線より内側の部分を自動削除します。
- 外側をクリア:有効にすると、指定した切断線より外側の部分を自動削除します。
この機能を使えば、モデルを半分だけ残すといった加工が数クリックで完了します。
切断部分に面を作る「フィル」
二等分でモデルを切断すると、切断した部分が空洞になり、穴が開いた状態になることがあります。
このときに便利なのが 「フィル」 設定です。設定パネルの「フィル」にチェックを入れると、切断によってできた開口部に面を自動生成してフタをしてくれます。
5. ナイフ投影とは?
ここまで紹介したナイフツールは、自分で線を描いてメッシュを切る方法でした。一方、「ナイフ投影」は少し考え方が異なります。
ナイフ投影では、別のオブジェクトの形を利用して、対象のメッシュにカットラインを焼き付けるように切り込みを入れます。利用できる形状には以下のようなものがあります。
- テキスト(文字)
- 平面メッシュ
- カーブ
特に実用的なのが、文字の形をモデルに投影して切り込む方法です。例えば、立方体に「Blender」という文字を彫り込みたい場合、テキストオブジェクトを利用して一発でメッシュをカットできます。
ナイフ投影の使い方(テキストを投影する例)
① 切り込みを入れるオブジェクトを用意する
まず、切り込みを入れる対象となるメッシュを用意します。
Shift + A ➔ 「メッシュ」 ➔ 「立方体(またはUV球)」などを追加します。これが「切られる側」のオブジェクトになります。
② 投影するオブジェクトを用意する
次に、メッシュを切るためのカッターとなる形を用意します。
Shift + A ➔ 「テキスト」を追加し、編集モードに入って好きな文字(例:Blender)に変更します。
③ 文字を対象オブジェクトの前に配置する
文字オブジェクトを対象メッシュの前に移動させます。
ここで最も大切なのは、文字とメッシュを正面から見たときに重なるように配置することです。ナイフ投影は「現在の視点(カメラの向き)」を基準にして直進するように投影されるため、視点や位置がずれていると意図しない場所に投影されてしまいます。
④ ナイフ投影を実行する(手順と選択順序)
ここが一番重要なポイントです。手順を間違えないよう注意してください。
- 切られる側のメッシュを選択し、
Tabキーで編集モード に入ります。 - 編集モードのまま、
Ctrlキーを押しながらアウトライナー等で投影用のテキストオブジェクトを追加選択します(メッシュが編集モードの状態で、テキストが同時に選択されている状態を作ります)。 - 視点を正投影(
テンキー1など)に合わせます。 - 上部メニューから 「メッシュ」 ➔ 「ナイフ投影」 を実行します。
うまく投影できると、テキストの輪郭に沿ってメッシュに新しい辺と面が作成されます。
ナイフ投影した部分を加工する
ナイフ投影の面白さは、投影して終わりではないことです。文字の形に沿ってメッシュが分割された状態になっているため、その面を選択して以下のような加工が行えます。
- 押し出す(
Eキー):文字を立体的に浮き立たせる、または凹ませる - 削除する(
Xキー):文字の形にくり抜いて穴を開ける
つまりナイフ投影は、「別オブジェクトの形を、メッシュ編集用の切り込みとして利用する強力な機能」と言えます。
6. ナイフ・二等分・ナイフ投影の違いと使い分け
今回解説した3つの機能の違いを整理すると以下のようになります。
| 機能 | 主な動き | 向いている作業 |
| ナイフ | クリックで手動で線を描いてカット | 自由な形の切り込み、局所的な辺の追加 |
| 二等分 | 指定した平面でメッシュを一直線に切断 | モデルの半分割、断面の作成、不要部分の削除 |
| ナイフ投影 | 別のオブジェクト(文字や図形)の形を投影 | ロゴの彫り込み、キャラクターの目の型抜き |
初心者の方は、次のように覚えておくと判断しやすくなります。
- 自由に切る ➔ ナイフ
- スパッと一直線に切る ➔ 二等分
- 別の形(文字など)を利用して切る ➔ ナイフ投影
7. ナイフツールがうまく使えないときのチェックポイント
ナイフツールを使っていて「思い通りに切れない」「機能しない」というときは、以下の項目をチェックしてみてください。
Q1. 編集モードになっていますか?
ナイフツールはメッシュ編集専用の機能です。必ず Tab キーを押して「編集モード」 になっているか確認してください。
Q2. 切りたいメッシュを選択していますか?
画面上に複数のオブジェクトがある場合、編集対象として選択されていないメッシュにはカットが入れられません。事前に目的のオブジェクトを選択してから編集モードに入りましょう。
Q3. 視点(カメラの向き)を確認しましたか?
特にナイフ投影は視点方向に依存します。斜めからの視点で実行すると歪んで投影されてしまうため、必ず テンキー1(正面)や テンキー3(側面)などの正投影ビューに切り替えてから実行してください。
Q4. 既存の辺にきちんと接続していますか?
ナイフツールでは、面の途中から始まって面の途中で終わるような、ジオメトリとして成立しない中途半端なカットは作成できません。「線を描いたのに確定すると消えてしまう」という場合は、必ず既存の頂点や辺に接続するようにカットラインを引いてみてください。
8. まとめ
今回は、Blenderの「ナイフツール」「二等分」「ナイフ投影」について詳しく解説しました。
ナイフツールは、メッシュに自由な切り込みを入れられる基本かつ強力な機能です。まずは以下の基本手順をしっかり覚えておきましょう。
Tab: 編集モードへ切り替えK: ナイフツール起動- 左クリック : カット位置を指定
Enter: カットを確定Esc: カットをキャンセルCtrl + Z: 操作を取り消しA: 角度制限X/Y/Z: 軸方向固定カット
最初は単純な立方体を使って「Tab ➔ K ➔ クリック ➔ Enter」の流れを試してみてください。「クリックした場所に新しい辺ができる」という感覚を掴むことが第一歩です。
慣れてきたら二等分やナイフ投影も取り入れて、モデリングの表現力をどんどん広げていきましょう!

