Blenderでモデルを編集していると、次のような操作を行いたい場面がよく出てきます。
- 「この頂点はいらないから消したい」
- 「この辺だけ消したい」
- 「面を削除して穴を開けたい」
そんなときに使うのが、「削除(Delete)」と「溶解(Dissolve)」です。
どちらもメッシュを消すための機能ですが、実際に使ってみると結果が大きく違います。特にBlenderを始めたばかりの方は、「削除と溶解って何が違うの?」と迷いやすいところです。
この記事では、Blender 5.2の最新UIを基準に、初心者の方に向けて「削除」と「溶解」の基本的な違いから、使い分けのコツまで分かりやすく解説します。
1. 「削除」と「溶解」は何が違う?
削除と溶解は、どちらも不要なメッシュを取り除くための機能ですが、消した後のメッシュ(形状)の状態が大きく異なります。
- 削除 : 選択した部分そのものを取り除く(周りに影響が及び、穴が開く)
- 溶解 : 選択した部分を取り除き、周囲のメッシュを自動でつなぎ直す(形状を維持する)
例えば、立方体の面を「削除」すると、その部分が消えて穴が開きます。一方、余分な辺や頂点を「溶解」すると、周囲の面をできるだけ維持・接続しながら、その辺や頂点だけをなくすことができます。
- 「穴を開けたい」 ➔ 削除
- 「形をできるだけ保ったまま余分な頂点や辺を減らしたい」 ➔ 溶解
と考えるとイメージしやすいでしょう。Blenderの公式マニュアルでも、削除は選択した要素を取り除く操作、溶解は周囲の構造をつなぎ直して穴を作らないようにする操作として明確に区別されています。
2. 「削除(Delete)」を使ってみよう
まずは基本となる「削除」の動作から確認していきましょう。
① 編集モードに切り替える
- 3Dビューポートで立方体などのメッシュを選択します。
- キーボードの
Tabキー を押し、編集モードに切り替えます。
編集モードでは、メッシュを構成している「頂点」「辺」「面」を選択して個別に編集できます。
② 削除を実行する手順
- 消したい頂点・辺・面を選択します。
- キーボードの
Xキー(またはDeleteキー)を押します。 - 削除メニューが表示されるので、対象に応じた項目を選択します。
| 操作 | ショートカットキー |
| 削除メニューを表示 | X または Delete |
頂点を削除するとどうなる?
頂点選択モードで頂点を1つ選択し、X ➔ 「頂点」 を実行すると、その頂点が消えます。
しかし、頂点だけが消えるわけではありません。その頂点に接続していた全ての辺や面も一緒に削除されます。
例えば、立方体の角にある頂点を削除すると、そこにつながっていた3本の辺と3つの面が全て消えるため、モデルの形が大きく崩れて開口部(穴)ができます。頂点を削除する際は、周囲の要素も連動して消える点に注意が必要です。
辺を削除するとどうなる?
辺選択モードで辺を選択し、X ➔ 「辺」 を実行すると、選択した辺が削除されます。
このとき、その辺を共有していた面も一緒に削除されます。 「辺だけを消したかったのに、面までなくなって穴が開いてしまった」という現象は、この削除の仕様によるものです。
面を削除するとどうなる?
面選択モードで面を選択し、X ➔ 「面」 を実行すると、選択した面だけが切り取られます。
モデルにハッキリとした「穴」が開いた状態になるため、箱のフタを開けたい場合や、開口部を作りたい場合には非常に適した操作です。
「面のみ」を削除する方法
削除メニューには、通常の「面」のほかに 「面のみ(Only Faces)」 という選択肢があります。
通常の面の削除では、その面を構成する要素全体に影響が及びますが、「面のみ」を実行すると、周囲の頂点や辺を残したまま、面(貼り付けられた皮)だけを取り除くことができます。ワイヤーフレームのような枠組みだけを残したい場合に便利です。
3. 「溶解(Dissolve)」を使ってみよう
「溶解」は、不要な頂点や辺を取り除きながら、周囲の面をつなぎ直してメッシュの形をできるだけ維持する機能です。
頂点を溶解する
頂点選択モードで不要な頂点を選択し、X ➔ 「頂点を溶解」 を選択します。
選択した頂点が消え、両隣の頂点同士が1本の辺で再接続されます。例えば、一直線上に並んでしまった余分な頂点を整理する際に、辺を切断することなくきれいな1本のラインに整えることができます。
辺を溶解する
辺選択モードで不要な辺を選択し、X ➔ 「辺を溶解」 を選択します。
選択した辺が消え、その辺を挟んでいた2つの面が1つの大きな面に結合されます。 削除とは異なり、面に穴が開くことはありません。面構造を維持したまま、不要な分割線だけを消したいときに最適です。
面を溶解する
複数の面を選択して X ➔ 「面を溶解」 を実行すると、隣り合う複数の面が統合されて1つの大きな面になります。
細かく分割されすぎたポリゴンを整理するのに役立ちます。ただし、面を溶解した結果、頂点数が5つ以上の「Nゴン(多角形ポリゴン)」が作られる場合があるため、処理後の構造には配慮が必要です。
限定的溶解(Limited Dissolve)とは?
削除メニューやメッシュメニューにある 「限定的溶解」 は、指定した角度以下の平らな面や、一直線に並んだ頂点・辺をBlenderが自動検出して、一括で綺麗に整理・簡略化してくれる便利機能です。
複雑になりすぎたモデルのポリゴン数を一気に減らしたい(ローポリ化したい)場合に非常に効果的です。
4. 「削除」と「溶解」の比較と使い分け
両者の違いを理解するために、特徴を整理してみましょう。
| 項目 | 削除(Delete) | 溶解(Dissolve) |
| 主な動作 | 選択要素とその接続部を取り除く | 選択要素を取り除き、周囲をつなぎ直す |
| 消した後の状態 | 穴が開く(構造が削れる) | 穴が開かない(面が結合される) |
| 使用目的 | 開口部を作る、構造をくり抜く | 余分な頂点・辺を整理する、ポリゴン削減 |
| おすすめの状況 | 箱のフタを開ける、窓を作る | ループカットしすぎた辺を消す |
初心者が迷ったときの判定基準
- 「面を消して穴を開けたい」 ➔ 削除 (
X➔ 面) - 「余計な辺だけ消して面は残したい」 ➔ 溶解 (
X➔ 辺を溶解) - 「一直線上の余計な頂点を消したい」 ➔ 溶解 (
X➔ 頂点を溶解)
ショートカットとして、選択モードに応じたスマートな溶解を行える Ctrl + X も用意されています。
5. 初心者がつまずきやすいポイントと対処法
Q1. 「辺を消したのに面までなくなって穴が開いた!」
- 原因:通常の「削除(
X➔ 辺)」を実行したため、その辺に接していた面も連動して消えてしまった状態です。 - 解決策:面を残したい場合は、削除ではなく
X➔ 「辺を溶解」 を使用してください。
Q2. 「思った通りに消えない・メニューの選択肢が違う」
- 原因:画面上部の選択モード(頂点・辺・面)と、選択している要素が一致していない可能性があります。
- 解決策:画面左上のアイコンで、自分が操作したいモード(
1:頂点、2:辺、3:面)が正しく選ばれているか確認してください。
Q3. 「削除したら穴が開いたけれど、これはミス?」
- 考え方:穴を開ける目的で削除したのであれば大成功です!もし「穴を開けたくなかったのに開いてしまった」のであれば、選択すべき機能が「溶解」だったということです。
6. 実際に試してみよう(簡単ステップ練習)
実際に立方体を使って、動作の違いを目で確認してみましょう。
練習①:面を削除して穴を開ける
Shift + A➔ 「メッシュ」 ➔ 「立方体」 を作成します。Tabキーで編集モードに入り、3キーを押して「面選択モード」にします。- 上面の面を1つ選択し、
X➔ 「面」 を選択します。 - 面が消え、中が空洞の箱のような穴が開くことを確認します。
練習②:辺を溶解して面をつなぐ
Ctrl + Rで立方体の側面にループカットを1本追加します。2キーを押して「辺選択モード」にし、追加された辺を選択します。X➔ 「辺を溶解」 を選択します。- 穴が開くことなく、分割されていた側面が1つの面に戻ることを確認します。
7. 「削除」と「溶解」のショートカット・方法まとめ
よく使う操作の一覧です。作業効率化に役立ててください。
| 操作内容 | ショートカットキー / 手順 |
| 編集モード切り替え | Tab |
| 削除・溶解メニュー表示 | X または Delete |
| コンテキスト溶解(自動判定) | Ctrl + X |
| 頂点を削除 | X ➔ 「頂点」 |
| 辺を削除 | X ➔ 「辺」 |
| 面を削除 | X ➔ 「面」 |
| 頂点を溶解 | X ➔ 「頂点を溶解」 |
| 辺を溶解 | X ➔ 「辺を溶解」 |
| 面を溶解 | X ➔ 「面を溶解」 |
| 一括で自動整理(限定的溶解) | X ➔ 「限定的溶解」 |
8. まとめ
今回は、Blender 5.2における「削除」と「溶解」の違いと使い分けについて解説しました。
モデリングでは、形を作るために頂点や辺を追加するだけでなく、不要になった要素を正しく整理する技術が非常に重要です。
- 削除 = そこを完全になくす(穴が開く)
- 溶解 = そこを消して、周りの構造をつなぎ直す(形状維持)
この基本ルールさえ押さえておけば、モデリング中にメッシュ構造を壊してしまうリスクを大幅に減らせます。
まずは立方体を使って、面を削除する感覚と、辺を溶解する感覚を実際に試してみてください!

