Blenderで3Dモデルを作ったら、次に挑戦したいのが「オブジェクトに好きな色をつける」操作です。
しかし、ペイントソフトのように筆で直接塗りつぶすわけではありません。Blenderでは「マテリアル」と呼ばれる素材データをオブジェクトに設定することで、色だけでなくツヤや金属感、透明感といった「質感」を表現します。
この記事では、Blender 5.2 LTSの最新UIに合わせて、マテリアルの基本概念から色付けの3ステップ、1つのオブジェクトを複数の色に塗り分ける方法、そして「メタリック」や「粗さ」といった重要パラメータの扱い方まで分かりやすく解説します。
1. マテリアルとは?(「形」と「質感」を切り離して考える)
Blenderにおいて、オブジェクトの見た目は「形状」と「マテリアル」の2つで構成されています。
【Blenderの見た目の決め手】
・メッシュ(頂点・辺・面) ➔ オブジェクトの「形」
・マテリアル(Material) ➔ 表面の「色・ツヤ・質感・透明感」
同じ「球体」のメッシュであっても、マテリアルを変えるだけで「赤いプラスチック」「銀色の鉄球」「青いガラス」「ザラザラした木」へと自在に見た目を変化させることができます。
2. 色や質感を確認する「マテリアルプレビュー」への切り替え
マテリアルの設定を始める前に、まずは3Dビューポートの表示モードを変更しましょう。
デフォルトの「ソリッド表示」では、マテリアルの正確な色や光の反射が画面に反映されない場合があります。
【表示モードの切り替え】
3Dビューポート右上の「ビューポートシェーディング」アイコンから「マテリアルプレビュー」を選択する
- ソリッド表示:形状の編集(モデリング)に集中するための軽量表示
- マテリアルプレビュー:色や質感、テクスチャを確認するための表示モード(ライティングも自動で補正されます)
色を変更する作業を行う際は、必ずマテリアルプレビューモードに切り替えておきましょう。
3. オブジェクトに色を付ける基本の3ステップ
実際にオブジェクトに単色のマテリアルを設定してみましょう。
基本操作のフロー
- オブジェクトを選択する
3Dビューポートで色をつけたいオブジェクト(例:立方体)をクリックします。 - マテリアルプロパティを開く
画面右側のプロパティエディターにある 球体アイコン(マテリアルプロパティ) をクリックします。 - 「新規」マテリアルを作成する
プロパティパネル上部にある 「新規」 ボタンを押すと、新しいマテリアル(初期名:Material)が作成されます。
[オブジェクト選択] ➔ [右側球体アイコン] ➔ [「新規」をクリック] ➔ [ベースカラーを変更]
ベースカラー(Base Color)を変更する
マテリアルを作成したら、設定項目の中にある 「ベースカラー」 をクリックします。カラーピッカーが表示されるので、好みの色(赤や青など)を選択すると、オブジェクトの色がリアルタイムで変化します。
💡 色が変わらない・反映されない時のチェックリスト
- 3Dビューポートが「ソリッド表示」になっていませんか?(マテリアルプレビューに変更しましょう)
- 正しいオブジェクトを選択した状態で設定していますか?
4. 1つのオブジェクトに複数の色を塗り分ける方法
「ルービックキューブのように、面の場所によって赤・青・黄に塗り分けたい」という場合は、1つのオブジェクトに複数のマテリアルを設定(マルチマテリアル)します。
手順①:マテリアルスロットを追加する
マテリアルプロパティ上部にあるリスト枠を 「マテリアルスロット」 と呼びます。
- スロット枠の右側にある 「+」ボタン を押して、新しい空きスロットを追加します。
- 追加したスロットを選んだ状態で 「新規」 を押すか、既存のマテリアルを選択して2つ目の色(例:青色)を用意します。
手順②:編集モードで「割り当て(Assign)」を行う
Tabキー を押して「編集モード」に入り、3キーで「面選択モード」にします。- 色を変えたい特定の面(例:上面)をクリックして選択します。
- マテリアルプロパティのリストから、塗り分けたいマテリアル(例:青色のマテリアル)を選択します。
- リストの下にある 「割り当て(Assign)」 ボタンをクリックします。
選択した面だけに新しい色が適用され、1つのオブジェクトを綺麗に塗り分けることができます。
5. 初心者が絶対覚えるべき3つの質感パラメータ
Blender 5.2の標準マテリアルシェーダーである 「プリンシプルBSDF(Principled BSDF)」 には多くの設定がありますが、まずは以下の3つの重要パラメータを押さえておけば大半の素材を作ることができます。
① メタリック(Metallic)
非金属か、金属か(金属感)を指定します。
- 0.0(非金属):プラスチック、木、紙、ゴム、肌など
- 1.0(完全な金属):鉄、金、銀、アルミ、メッキなど
② 粗さ(Roughness)
表面のツルツル・ザラザラ具合(反射のシャープさ)を指定します。
- 0.0(ツルツル):鏡のように周囲の景色をくっきり映し出す強い反射(艶あり)
- 1.0(ザラザラ):光が拡散し、艶消し(マット)状の静かな見た目
③ 透過の強さ(Transmission Weight)
物体に光を透過させ、ガラスや水のような透明感を作る設定です。
- 0.0(不透明):通常の固体
- 1.0(完全透明):ガラス、澄んだ水、透明なアクリルなど
⚠️ バージョン表記に関する注意
古いBlenderの解説記事では透過項目が「伝播(Transmission)」と表記されていることがありますが、Blender 5.2 LTSでは「Transmission Weight(透過の強さ)」 という項目名に整理されています。
パラメータの組み合わせによる質感比較表
| 表現したい質感 | ベースカラー | メタリック | 粗さ(Roughness) | Transmission Weight |
| 赤いツヤありプラスチック | 赤 | 0.0 | 0.1 前後 | 0.0 |
| 艶消し(マット)のゴム | 任意 | 0.0 | 0.8〜0.9 | 0.0 |
| ピカピカの銀色金属 | 白/薄いグレー | 1.0 | 0.05 前後 | 0.0 |
| 透明な清涼飲料水・ガラス | 薄い水色/白 | 0.0 | 0.0 | 1.0 |
6. マテリアルの管理・共有・削除の基本
① 分かりやすい「名前」をつける
マテリアル作成時の初期名 Material.001 などのままだと、後で混乱します。
マテリアルプロパティの名前欄をクリックし、Red_Plastic や Metal_Gold のように用途が伝わる英語名に変更しておきましょう。
② 他のオブジェクトへ使い回す(共有)
一度作成したマテリアルは、別のオブジェクトの「新規」ボタン横にある家/地球アイコン(マテリアル選択ドロップダウン)から呼び出して使い回すことができます。
共有しているマテリアルは、どれか1つのオブジェクトで色を変えると、同じマテリアルを使っている他のオブジェクトの色も一括で変更されます。
③ マテリアルの削除と孤立データ(Orphan Data)
オブジェクトからマテリアルを外すには、スロットを選択して 「ー」ボタン を押します。
ただし、オブジェクトから外してもBlenderファイル内部にはデータが保持されています。どのオブジェクトからも使われなくなったマテリアルは「孤立データ(Orphan Data)」となり、ファイルを保存して再起動した際に自動的にクリーンアップ(完全消去)されます。
7. まとめ&初心者向けチェックフロー
Blenderでの色付けは、「色を塗る」のではなく「マテリアル(質感)を割り当てる」という感覚を掴むことが第一歩です。
| 操作・機能 | ショートカット / アイコン | 主な役割 |
| 表示モード切替 | 3Dビューポート右上アイコン | マテリアルプレビューにして正確な色を確認する |
| 基本色変更 | ベースカラー(Base Color) | オブジェクトの基本色を設定 |
| 質感設定 | メタリック / 粗さ | 金属感や表面のツヤ・艶消しを調整 |
| 面ごとの塗り分け | 編集モード(Tab) ➔ 「割り当て」 | 選択した面だけにマテリアルを反映する |
覚えておくべき色付けの基本手順
- オブジェクト選択 ➔ マテリアルプロパティ(球体マーク)を開く
- 「新規」で作成し、「ベースカラー」で好きな色を選ぶ
- 「マテリアルプレビュー」で表示を確認する
- 「粗さ」や「メタリック」で質感を仕上げる
まずは立方体や球体にマテリアルを作成し、粗さの数値を 0.0 から 1.0 へ動かしてツヤが変わる様子を実際に体験してみましょう!

